、整理した人のはかり[#「はかり」に傍点]のかたむきが解答への暗示となってちらついているし、アンケート用として適当だと感じられない。が、大体この討論は小田切が「革命性ぬきの勤労者文学」と批判したのを反駁して徳永が労働者階級の文学の革命性というものが具体的に、こんにちまでどんな経路をたどって来たかを主張している討論である。このアンケート用に整理されている徳永の議論を、同じ号にのっている座談会記事「勤労者の文学をどう前進させるか」第二回のなかでの徳永自身の話、岩上、坂井などの話とてらしあわせてよんでみると、きわめて示唆にとんだこんにちの諸問題が発見される。創作の実際にふれての話だけに問題はいきいきとしている。
座談会のこの部分では、第一に徳永から「もっと深くつっこめ」ということが云われている。ブルジョア文学の悪い影響をうけて、あさくまとめている。小説を勉強すると、小説ばかりよむような勉強の仕方そのものが注意されなければならない、といわれている。それに対して国鉄詩人の鈴木茂正が、この小説の浅い深いについて興味ある発言をしている。浅いといわれるのは「例えば船山馨という人たちが書いているもので
前へ
次へ
全31ページ中7ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング