ない所には肉の腐れ落ちて居る様な不気味さを以て暗く、そうでない所は身震いの付く程の黄黒さを以て描き出された。
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「私のする通りにおし。
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 死魚の様な目は大きく見開かれた。
 四つの瞳は冷たい水銀の上に凝りかたまった。
 上下にと引き分けられた厚い唇の間から非常に大きく乱杭な歯と細ー長い列とが現われて消えた。
 腐敗に赴いた死顔の様な二つの顔の筋肉は機械的に延びたり縮んだり、かたまったり、ゆるんだりする度に奇怪な絵の様な物凄く不完全な種々の表情が鎮まり返って居る鏡面に写っては消え、消えては写った。
 暫くの間その意味あり気な運動は繰返されると小さい灯は吹きけされ、外界から洩れ入る薄明りの中に鋭く青白い鏡の反射が一条流れた時小虫さえ憚かる囁きが繰返された。
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「お前は私の子ではないよ。
「ああ。
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        十八

 人々は異常な興味を以てお関を見て居た。
 彼那に云ったら何か云い訳位は仕て廻る事だろうと云う事が各自の頭にあった。
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「あんまり一生懸命で云い開きを付け様とでもすればそれこそ怪しいんですよ。
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等と、お関が一々事を分けて弁明して歩く事を十人が十人期待して居たのだけれ共、総てはそれとまるで反対に行って、お関はそんな事があるのですかと云う様なゆさりともしない様子を保ちつづけて、伝えられて行く噂さにビクとも仕ないらしく見えた。
 種々鎌をかけて此那事も彼那噂もありますと云って行ってもお関は静かに笑いながら、
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「まあ仰っしゃりたい様に云って居らっしゃるがようござんすわね。
 どっちに扇が上るかはお天道様の御心次第ですからね。今にどうかきまりましょう。
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と云う許りで、ちっとも周章てた暗そうな事がないので、いつとはなしに噂は下火になりかけた。
 お関は自分の作戦の成功を心で飛び立つ程喜びながら表面はあくまで平静らしく事のなり行きを見て居た。
 お関は正直者が勝を必ず占める世の中ではない事を知って居るのだった。
 人間は妙なもので、偽だと十中の八九までは分って居ても、嘘を云う者が余り押し強くその立ち場を守って居ると、却って、それじゃあ自分の方がと云う怪しみが湧いて来るものであ
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