ているのである。
 作家として自身の特色に対して、壺井さんは、現在の行きかたで行こうと思っているであろうけれど、文学のひろい意味でそこに一つの限界があることや、自分の文学よりももっと複雑な健全さがあり得ること、またなくてはならないのにそれが表現されていない今日の現実の事情に対して、はっきり知ってもいる。壺井さんが自分の独特さの半面でそのことも理解しているというところにこそ、この作家の真の健全さが作品の世界に息づいているのであると思う。[#地付き]〔一九四一年二月〕



底本:「宮本百合子全集 第十二巻」新日本出版社
   1980(昭和55)年4月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
親本:「宮本百合子全集 第八巻」河出書房
   1952(昭和27)年10月発行
初出:「報知新聞」
   1941(昭和16)年2月27日号
入力:柴田卓治
校正:松永正敏
2003年2月13日作成
青空文庫作成ファイル:
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