ダールはルシアン[#「ン」に「ママ」の注記]・ソレルの場合貴族への憎悪をつよくあらわしている。
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 ルシアン・ルーヴェンのブルジョア性として正統派 エゴイスト 礼式ずくめ、過去への執着と、猛烈な共和派を見ている。
スタンダールの内面は、いろんな万華鏡で何人かのルシアンにあらわされている。
〔欄外に〕
 ルシアン[#「ン」に「ママ」の注記]・ソレルがはげしい性格そのもので冷やか[#「冷やか」に傍点]になったように、打算したように、ルシアン・ルーヴェンもナンシーの上流社会に対してそうだ。
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p.306 現代の行儀作法は正しくて洗煉されている。――その青年独特の、幸福の追求のしかたについてはどうだ。それについてはなんにも分らないのだ。」

     スタンダールの十九世紀観

 「緑の騎士」
p.87 ひとくちに云えば十九世紀の社会はほとんど快楽というものを味わせてくれない。

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――「リュシアンも」現代文化が作りあげた数知れぬこまかな作法にそむくまいとしている。そうして、そういう虚栄心や恐怖心があらゆる激しい好尚にとって
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