、朝鮮、ヴェトナム、これらの民族は、それぞれ近代帝国主義の発展とともに、屈辱と辛苦とをなめつくして、ついに新しい人民の運命の戸口を開いた。その経験から、人間関係方面の何かの成果がひきのばされないはずがない。アメリカの大審院判事W・O・ダグラスというひとがニューヨークのある晩餐会で話したという言葉がつたえられている。「いまや世界の各地には、かつてアメリカでおこなわれたと同じような革命が進行しつつある。大切なのはこれにたいする管理と指導である。将来この時代を記すにあたって、アメリカが反動、暴政、圧迫によってこの闘争を弾圧したということになれば、これは恥ずべきことになるだろう」「もしアメリカ国民が、他の国家の人民にたいするスポークスマンの役目を軍人に許すならば、それは現代の大悲劇となるであろう」と。
現代まで科学の成果が集積されて来た跡をかえりみれば、ギリシア時代からオッペンハイマーの業績に到るまで、ただ一つの発見、一つの実験の成果でも洩れなくあつめられている。それだのに、日本においても他の資本主義国においても人間関係方面での実験とその成果とは、それが二百年も三百年もたって古びてしまわない
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