。まして長い禁止の後に、また発表されはじめた小説であったから、表現が制限されて、今読みかえすと感動で咽喉がつまって声も言葉ものびのびとはでていない。このわかりにくい程気をつかったいいまわしや、省略にもかかわらず、これが文芸に発表されたときは、ほんの小さい箇所が幾所か要心深くふせられた。
 編輯者の好意で、伏字なしのゲラが保存されていたことはほんとに嬉しかった。それによってここにおさめられている「広場」は、不自由ながらもあのころ書かれたままの表現にもどされている。
[#地から1字上げ]〔一九五〇年二月〕



底本:「宮本百合子全集 第三十巻」新日本出版社
   1986(昭和61)年3月20日初版発行
初出:「文芸読物」(「広場」前書き)
   1950(昭和25)年2月号
入力:柴田卓治
校正:土屋隆
2007年11月30日作成
青空文庫作成ファイル:
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