「我らの誌上相談」
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)纏《まとま》った
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)かたまる[#「かたまる」に傍点]
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病母と弟を抱えて
お手紙拝見しました。あなたのお心持の入りまじった苦しいところはよくわかります。ましてあなたの場合、まだきまった対手が姿をあらわしていないから、いろいろそれを根拠として具体的な相談をすすめて行く条件が、あなた御自身にもわかっていない。いわば、空をつかむような心配です。
従って、私たちにしろ、山田さんと同じように実際の対手が出来た上で、家へ一緒に住むかどうかということを定めるしかないと云う返事のほか出来ません。
ただ、あなたの手紙で感じた一つのことを云いますと、それは、あなたがボンヤリながら、今の世の中にそういう境遇におかれた若い女の結婚難というものに恐怖を抱いていられるという事です。
夫と家へ一緒に住もうか住むまいか? 若い弟嫁と母とだけでは心配だという心持のかげには、自分の複雑な家庭の事情が、対手を面倒がらせ逃がしてはしまうまい
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