では弱いということをつくづく知られたらしいが、『働く婦人』を中心として現在ではサークルでも組織していられますか? 何人かがかたまって集団的に取次者をきめて直接購読をしていられますか? 若しまだでしたら、価値ある経験をすぐ今日の実際の中に生かしてゆかれることを希望します。ブルジョア・地主の政府が資本主義経済の行きづまりから死物狂いにファッショ化して来ている現在の日本で、プロレタリアの唯一の文化的武器である、プロレタリア出版物を支持し、その配布組織を敵から守って拡大強化してゆくことはわれわれに課せられて決してなおざりに出来ない階級的任務なのです。
文化連盟及『働く婦人』の基金募集応募のことは異議あろう筈はありません。例えば、『働く婦人』にしろ、実に困難な経済の中から苦心して発行しているのです。あなたがまとまって寄附なさることが出来れば幸いです。その他あなたのお友達の中で、よしんば纏《まとま》った額を一時に応募することは出来ないにしろ、毎月一円ずつぐらいなら出せるという方でもあれば、すすんで『働く婦人』の維持員になるよう勧誘して下さい。維持員にはなれないが半年分誌代前納で直接購読ならしようという方があれば、これも大切な支持者です。いつも、われわれはその額の多少によらず心からわれわれの出版物を守ろうとしてされる経済的援助を歓迎します。
さて、就職の件ですが、お手紙に書かれていただけでは、あなたの親が就職そのものについてどんな意見をもっていられるのかはっきりしません。然し、自身技術をもっていて就職を望んでいるとしたら、適当な就職口を見つけて働き、集団の生活を知り、働く婦人としてどう搾取者と闘って行くべきかという訓練を受けるのはいいでしょう。われわれはブルジョア社会で搾られる働く婦人として官僚主義、差別待遇等に対しどこまでも闘って行くべきです。あなたはそれらに対し「随分反抗しつづけて来ましたがこの位のことが何でしょう」と云っていられるが、それはその時代の反抗が個人的に一人対一人として、組織の力によってではなくされたので、そういう心持を今あなたに起させているのだと信じます。あなたが団結の必要を知ったということは、即ちプロレタリアートを解放し、真に婦人の生活を幸福にするための闘争には強いプロレタリアートの組織がいるということを意味しているのです。今度就職したら、職場のみんなの不
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