つかうような人種の登場によって、真の発展も探求もないテーマを粉飾し、読者をよろこばせることに成功しているならば、それは日本人が日本の言葉――生活を喪失しつつあることを意味するばかりであろう。
専制と恐怖の政治をすすめる温和な手段の一つは、人民の精神から批判力をぬき去るという方法である。笑いやスペクタクルによって精神の集中を溶け去らせる愚民化の方法である。ワグナーがオペラをプロシア皇帝の治世の具として自薦したとき、はっきりそのことを云った。それでニーチェは、ワグナーと絶交したのだった。[#地付き]〔一九五一年一月〕
底本:「宮本百合子全集 第十三巻」新日本出版社
1979(昭和54)年11月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第5刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第十一巻」河出書房
1952(昭和27)年5月発行
初出:「人間」
1951(昭和26)年1月号
入力:柴田卓治
校正:米田進
2003年4月23日作成
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