で、それは何処にどんなにして在るのだろうという思いなのである。
『婦人之友』三月号が、国民食をつくり出してゆく基礎として食べもの調査を発表しているのは参考になった。工場に働いている男女、会社員、職業婦人、学生、農家、商家それぞれの献立と、今たべたいものを統計して示している。甘いものと天ぷらが食べたいものの圧倒的多数を占めている事実も、私たちの実感に通じている。
 この食べもの調査は相当こまかに分類もして調べられているのだが、家庭の主婦についての調査項目がなかったのは何故だったのだろう。家庭の主婦の心労や骨折や或は無智が、職工さんのお弁当の量は多くて質の足りない組合わせを結果して来てもいるだろうし、代用食と云えばうどん[#「うどん」に傍点]で子供は食慾もなくしている始末にもなっていよう。何をたべたか、何がたべたいかという結果として出たところで調査した上は、もう一歩進めて、家庭の主婦が今痛切に何をたべさせたがっているか、何を求めているかという実状に即して統計をとって見る必要があるだろうと思えた。主婦そのものが、家族のために食べものをやりくりして自分は慢性の栄養不良に陥っていることは、何も昨
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