れた。
健全な演劇というものは、特定の観念をテーマとした台本を上演するということだけで決して解決しない。わかり切っているこんなことが、しかし、案外の困難にぶつかっているのではないかしら。
ラジオなどできく落語が、近頃は妙なものになって教訓落語だが、話の筋は結局ききてである働く人々の生活や文化の低さを莫迦《ばか》らしく漫画化したようなものが多くていい心持はしない。実質的にはちっとも健全と云えないのである。
健全性というものへの理解は、あらゆる方面からの努力でこれから様々の辛苦を経て練られ高められて行かなければならないものだと思う。[#地付き]〔一九四〇年十二月〕
底本:「宮本百合子全集 第十四巻」新日本出版社
1979(昭和54)年7月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第5刷発行
初出:「都新聞」
1940(昭和15)年12月15日号
入力:柴田卓治
校正:米田進
2003年5月26日作成
青空文庫作成ファイル:
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