たとえば講談社の出版物は広く読まれているが、しかしそれが日本の人民の幸福にどう役立つかといえば、戦争を鼓吹し、いまでもどこやら反動的な調子を持込んで明るい民主化をそらそうとしている。一人の作家が広く読まれるという場合、いつもそれは歴史の爪先の方向で読まれているか、おくれた踵の方で読まれているかということを私共は深く考えなくてはならない。
常識というものは、その時の社会の歴史が可能にしている進歩の最小限を表し、同時にその社会の持っている偏見や保守などに最大限であるものだから。[#地付き]〔一九四八年三月〕
底本:「宮本百合子全集 第十三巻」新日本出版社
1979(昭和54)年11月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第5刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第十一巻」河出書房
1952(昭和27)年5月発行
初出:「青年新聞」
1948(昭和23)年3月17日号
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:柴田卓治
校正:米田進
2003年4月23日作成
青空文庫作成ファイル:
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