ょう。それから若い男はそっち側にいて、抽出《ひきだ》しの縁[#「縁」は底本では「椽」]で煙草の灰を落していたんです。そして三番目の奴は、その辺をいったり来たりしていたんでしょう。ブレシントン氏は、たぶんベットの上にすわらされていたんだろうと私は思うんですが、しかしどれも確かじアありません。
やがて彼等の相談は、ブレシントンを吊るして首をくくらせようという事にきまったのです。――そこで奴等は、何かの用にしようと思って持って来た滑車を絞首台をつくるのに応用したんですね。その螺旋廻しと螺旋とで、それをしっかりそこにくくりつけたんです。それからブレシントンをそこにぶらさげたんですね。こう云う風にして、すっかり細工をし上げてから、彼等は悠々と入口から出ていったのですが、そのあとはちゃんと彼等の共謀者が家の中にいて、閂をかけておいたものだと、私は思うんです」
私たちは非常に深い興味を以って、その前の晩の出来事の話をきいた。ホームズはそれらの話を、彼が説明してくれている時でさえ、私たちは気のつかないような小さな、捕えどころのないようなことから推論して話してくれるのであった。探偵はやがて、いそいで
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