どいた。――ハナレヤニハマダタレカイル。レイノカオ、マドニアラワル。七ジノキシヤデオイデマツ。ゴトウチヤクマデシゴトニカカラヌ。――と、それには書いてあった。
 私たちはすぐ出かけた。そして汽車から降りると、彼はプラットフォームで待っていた。停車場《ていしゃじょう》の明かりで、彼が非常に蒼ざめて、興奮の余りブルブル震えていることが分かった。
「奴等はまだいるんです。ホームズさん」
 と彼は、私の友達の袖をかたくつかみながら云った。
「私がいった時、例の離れ家に明りがついているのを見ました。すぐいって、ひと思いにすっかり解決しちまいましょう」
「あなたはどうしたらいいと思いますか」
 とホームズは、暗い並木道《なみきみち》を下《お》りながら云った。
「私はあの家《いえ》の中へ這入って行って、あそこに住んでいた奴を、見つけ出してやろうと思います。無論ご一しょに行って下さるでしょうね」
「あなたは、あなたの奥さんの、この秘密をあばき出さない方がよいと云う忠告を無視しても、そうしようと決心したんですか?」
「ええ、私は断然やります」
「結構です。当然だと思います。不安な疑いは明らかにするに限り
前へ 次へ
全47ページ中37ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三上 於菟吉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング