なくてはならない。もしその手紙の中にかくされた意味があるなら、僕はそれをつかみ出すことが出来る確信があった。そうしてそれから一時間の間、僕は薄暗《うすやみ》の中に考えながら坐っていた。やがて一人の女中が泣きながらランプを持って来た。そしてその女中と入れ交《ちが》いに、友達のトレヴォは真蒼な顔色をして、しかし落ついて、今、君が膝の上にのせているその書類をつかんでやって来た。彼は僕と向い合って腰をおろした。そしてテエブルの端のほうへランプを引き寄せて、僕に、君が見ている、その灰色の半截紙に書いてある短い手記を手渡した。
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――ロンドンにおける計画の準備は着々進行しつつあり。主任看視者ハドソンは、蠅捕紙と貴下の雄鳥《おす》の雉の命を保管するための命令を受けたることを信ず。――
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 それにはこう書いてあった。
 実を云えばこれを初めて読んだ時、僕も、今君がしていると同じような、合点の行かなそうなまごついた顔をしたんだよ。が、僕はよく気をつけてもう一度読み返したんだ。それはたしかに僕が考えたように、その文字のつながりに何か第二の意味が隠されているに相
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