者もあつてめでたし御代の春
猫の顏もみがきあげたり玉の春
初空や烏は黒く富士白し
紅梅は娘たのんで折らせけり
紅梅や翠簾のすき影衣の音
紅梅や垣をへだてゝ娘同士
梅さくや藁屋四五軒犬の聲
紅梅はまばら也けり窓の影
水鳥のつゝき出したる根芹哉
制札にちりかゝりけり山櫻
【植半】
八重櫻咲きけり芋に蜆汁
蓮花草我も一度は小供なり
草籠をおいて人なし春の山
兩側の竹藪長し赤椿
馬の背に手を出して見る椿哉
一むねは花にうもるや赤椿
女にも生れて見たし花菫
【行脚の笠に題す】
道づれは胡蝶をたのむ旅路哉
【回文】
松の戸や春を薫るは宿の妻
白魚や氷の中に生れけむ
神代より誰か教へて猫の戀
哥よまばやさしかるべきに猫の戀
戀猫はあらきこゑさへあはれなり
内でなけば外でもなくやうかれ猫
【古白よりある人の聟養子に行きたることをいひおこせし返しに】
【小糠三合あれはとは昔語りに殘りたれとこれは又打て變つて聟殿の權柄】
淺ましやもらふた日より猫の戀
あとさきもしらぬ心や花に鳥
二三日はちりさかりけり山さくら
花ちるや寂然として石佛
あくびした口に花ちる日永哉
ならんたる鳥居の赤し山櫻
【品川
前へ
次へ
全74ページ中8ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
正岡 子規 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング