濃紫
鉢植の松にも蔦の紅葉かな
月夜
里芋の娵入したる都かな
[#「月夜」は「都」の右側に注記するような形で]
蕣や鉢に植ゑても同じ事
くりぬいて中へはいらん種ふくべ
蕣の地をはひわたる明家哉
種ふくべ何の力にくびれけん
萩の花思ふ通りにたわみけり
乞食小屋の留守にちりこむ柳哉
乞食のめんつうを干す木槿哉
乞食のぬる野は花と成にけり
水結 さら/\と水こす荻の下葉哉 千那ノ句 秋風や荻のりこえて水の音[#「水結」は上部に出ている]
[#「千那ノ句 秋風や荻のりこえて水の音」は「さら/\と水こす荻の下葉哉」の下にポイントを下げて2行で]
〃 濱荻や水氣はなれし畑の中[#「〃」は上部に出ている]
〃 水門に荻をすひこむ流れ哉[#「〃」は上部に出ている]
【大磯へ行く途上】
堀割になれてうつむく薄哉
堀割に風のうつむく薄哉
[#「堀割になれて」と「堀割に風の」の句の上には、この二つの句を括る波括弧あり]
むさし野は稻よりのぼる朝日哉
夕日さす山段※[#「※」は「二の字点」、第3水準1−2−22、142−15]の晩稻哉
何のかのうき名をすてゝ野菊哉
百姓の秋はうつくし葉鷄
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