は見えにけり
夕かほのやみもの凄き裸かな
白過ぎてあはれ少し蓮の花
白水の押し出す背戸や杜若
いわけなう日うらの白き胡瓜哉
凌霄や煉瓦造りの共うつり
浮草をうねりよせたるさ波哉
開いても開いてもちるけしの花
重たさを首で垂れけりゆりの花
傘はいる若葉の底の家居哉
[#改頁]
廿五年 秋 時候 人事
すくむや
鷄の塒に小さし秋のくれ
[#「すくむや」は「小さし」の右側に注記するような形で]
燈籠としらずに來たり灯取虫
ぬすんたる瓜や乞食の玉まつり
箒星障子にひかる夜寒哉
秋たつや鶉の聲の一二寸
何げなく引けと鳴子のすさましき
旅人を追かけてひく鳴子哉
稻妻にひとゆりゆれる鳴子かな
烏帽子着て送り火たくや白拍子
引けば引くものよ一日鳴子引
思ひ出し/\ひく鳴子哉
ひとりゆれひとり驚く鳴子かな
どこやらに稻妻はしる燈籠哉
稻妻に燈籠の火のあばきかな
[#「どこやらに」と「稻妻に」の句の上には、この二つの句を括る波括弧あり]
家根の上にどこの哀れぞ揚燈籠
よそイ やイ
[#「よそイ」は「どこ」の左側に、「やイ」は「ぞ」の左側に注記するような形で]
籔陰を誰がさげて行く燈籠
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