蕉ゆるみし暑さ哉
【古白の女人形に題す】
汗かゝぬ女の肌の涼しさよ
溝川に小鮒ふまへし涼み哉
涼しさや花火ちりこむ水の音
夏やせの腮にいたし笠の紐
牛の尾の力も弱るあつさ哉
涼しさや風にさばける繩簾
おそろしや闇に亂るゝ鵜の篝
烟草のむひま旅人も來て早苗とれ
吸殼の水に音ある涼み哉
若竹や色もちあふて青簾
紫陽花に吸ひこむ松の雫哉
紫陽花にかぶせかゝるや今年竹
はら/\と風にはちくや鵜の篝
短夜や砂土手いそぐ小提灯
三津口を又一人行く袷哉
囚人の鎖ひきずるあつさ哉
【小栗神社】
朝夕に神きこしめす田歌かな
【永田村】
秋近き窓のながめや小富士松
涼しさや馬も海向く淡井阪
萱町や裏へまはれば青簾
蚊遣たく烟の中や垣生今津
打ちわくる水や一番二番町
【松山】
※[#「※」は「姉」の本字。第3水準1−85−57の木へんに代えて女へん。73−1]が織り妹が縫ふて更衣
垣ごしや隣へくばる小鰺鮓
聾の拍子はづれや田植歌
飛び下りた梦も見る也不二詣
早少女の昔をかたれ小傾城
帷子や蝙蝠傘のかいき裏
陣笠を着た人もある田植哉
涼しさや母呂にかくるゝ後影
ふんどしも白うなりけり衣がへ
白無垢の一
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