ち」、第3水準1−14−51、48−4]の聲朧也春の陣
朧夜はお齒黒どぶの匂ひ哉
菎蒻ののびさうになる日永哉
長閑さや障子の穴に海見えて
猿曳も猿も見とれて傀儡師
人の世の工夫ではなし削り掛
ひよ/\と遠矢のゆるむ日永哉
うたゝねを針にさゝれる日永哉
永き日や菜種つたひの七曲り
駒鳥鳴くや唐人町の春の暮
死はいやぞ其きさらぎの二日灸
つく鐘を唖の見て居る彼岸哉
涅槃像胡蝶の梦もなかりけり
名をつけて鴇母にするや崩れ雛
此頃やまだのどかさもあそここゝ
此頃の夜の朧さや白き花
出代やまだ初戀のきのふけふ
水尾谷がしころちぎれし雛かな
ある時はすねて落ちけり凧
涅槃會の一夜は闇もなかりけり
涅槃像寫眞なき世こそたふとけれ
白き山青き山皆おぼろなり
出代りの英語をつかふ別れ哉
朧夜にくづれかゝるや浪かしら
のどかさや松にすわりし眞帆片帆
氣の輕き拍子也けり茶摘歌

春 天文

うぐひすの茶の木くゝるや春の雨
生壁に花ふきつける春の風
競吟 春風や井戸へはひりしつはくらめ[#「競吟」は上部に出ている]
春雨やよその燕のぬれてくる
馬子哥の鈴鹿上るや春の雨
青柳にふりけされけり春の雪

【神田大火
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