なり技術の上に進歩と整頓《せいとん》とを現せり。少くとも形式の上において整頓し初めたり。すなわち攫者《キャッチャー》が面と小手《こて》(撃剣《げきけん》に用うる面と小手のごとき者)を着けて直球《ジレクトボール》を攫《つか》み投者《ピッチャー》が正投《ピッチ》を学びて今まで九球なりし者を四球(あるいは六球なりしか)に改めたるがごときこれなり。次にその遊技法につきて多少説明する所あるべし。[#地から2字上げ](七月十九日)
○ベースボールに要するもの[#「ベースボールに要するもの」に白ゴマ傍点] はおよそ千坪ばかりの平坦なる地面[#「千坪ばかりの平坦なる地面」に傍点](芝生《しばふ》ならばなお善《よ》し)皮にて包みたる[#「皮にて包みたる」に傍点]小球《ボール》(直径二寸ばかりにして中は護謨《ゴム》、糸の類《たぐい》にて充実《じゅうじつ》したるもの)投者《ピッチャー》が投げたる球を打つべき木の[#「投げたる球を打つべき木の」に傍点]棒《バット》(長さ四尺ばかりにして先の方やや太く手にて持つ処《ところ》やや細きもの)一尺四方ばかりの荒布にて坐蒲団のごとく拵えたる[#「一尺四方ばかりの荒布にて坐蒲団のごとく拵えたる」に傍点]基《ベース》三個|本基《ホームベース》および投者《ピッチャー》の位置に置くべき鉄板様の物一個ずつ[#「位置に置くべき鉄板様の物一個ずつ」に傍点]、攫者《キャッチャー》の後方に張りて球を遮るべき網[#「の後方に張りて球を遮るべき網」に傍点](高さ一間半、幅《はば》二、三間位)競技者十八人[#「競技者十八人」に白丸傍点](九人ずつ敵味方に分るるもの)審判者《アムパイア》一人[#「一人」に傍点]、幹事一人[#「幹事一人」に傍点](勝負を記すもの)等なり。
○ベースボールの競技場[#「ベースボールの競技場」に白丸傍点] 図によりて説明すべし。
[#競技場の図]
直線いほ[#「いほ」に二重傍線]及びいへ[#「いへ」に二重傍線](実際には線なし、あるいは白灰にて引く事あり)は無限に延長せられたるものとし直角ほいへ[#「ほいへ」に二重傍線]の内は無限大の競技場たるべし。但《ただ》し実際は本基《ホームペース》にて打者《ストライカー》の打ちたる球の達する処すなわち限界となる。いろはに[#「いろはに」に傍点]は正方形にして十五間四方なり。勝負は小勝負九度[#「小勝負九度
前へ
次へ
全9ページ中2ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
正岡 子規 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング