うぎ》に掛ける。猛虎|太陽汗《タヤンカン》は悠然と成吉思汗《ジンギスカン》の傍に坐る。汪克児《オングル》は独りで戯《ふざ》けまわる。
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成吉思汗《ジンギスカン》 (上機嫌に)今日第一の殊勲者は、木華里《ムカリ》だ。それ、木華里《ムカリ》、盃《さかずき》を与《や》るぞ。
木華里《ムカリ》 いえ、どうぞそのお盃は、まず合爾合《カルカ》さまへ。
成吉思汗《ジンギスカン》 うむ、そうだったな。花嫁にささんでは、この場の固めがつかない。合爾合《カルカ》、あれ以来あなたを慕いつづけてきた成吉思汗《ジンギスカン》の盃です。快く受けて下さい。
汪克児《オングル》 姫一人を思って、今まで独身《ひとりみ》をお守りなされた大王様のおさかずきじゃ。めでたい、めでたい!
合爾合《カルカ》姫 (覚悟を決めた態)はい。それでは、頂戴いたします。
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小姓|巴剌帖木《パラテム》が酌しようとする。
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木華里《ムカリ》 今日第一の殊勲者というお言葉に甘えて、お酌は
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