リカルになって、アンへ物を投げつけたりなど、野獣のように暴れることがあったと言った。
グルノウ療養院の看護婦長エヴェリン・ネエスというのが、サミイとアンを生きて最後に見た人で、金曜日の午後、北二丁目へ訪ねて行くと、アンはサミイのために寝台《ベッド》の支度をしていたが、三人はそれから茶を飲んで雑談を交わした。サミイは桃色のパジャマを着て、陽気に騒いでいたというのだ。
その夜晩く、ルウス・ジュッドが、彼《か》の家へ来たのだろう。
これが兇行の晩で、翌朝早く療養院の当直医パアシイ・ブラウンのところへ、女の声で電話が掛って来て、
「私アン・ルロイですの。サミュエルスンさんの兄さんが急病で、ちょっと一緒にタクソン町まで行かなければなりませんから、病院のほうは休ませて頂きます」
が、この電話の欠勤届が行き違いになって、その日の午前十時半頃、アン・ルロイが来ないので、何うしたのかと、院長の命令で看護婦の一人が、彼女の家へ見に行った事実もある。ひっそりして、人気のない様子で――それは人気のない訳で、この時はもう二人はトランクの中に収まっていたのだろうが、そんなことは知らないから、看護婦が窓から
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