ン夫人は、自身でこの事に当ることは好まなかったのである。如何に重複が多ければとて、如何にイタリックの多きがために体裁を損ずるが如く思わるればとて、夫が或る主義のためにかく為《な》したるものを、その妻としてこれを改めることは到底忍び難きことである。他日何人かこの書を出版することある場合に、この目障《めざわり》を除くことあっても、それは彼らの勝手である。彼らは自分が守らなければならぬような敬順の義務には束縛せられてはおらぬ“Future editors may, if they will, remove this eye−sore. They will not be bound by the deference which must govern me.”と言うておる。
しかるにオースチンの友人、門弟らの説はぜひその遺稿を出版すべしとの事に一致し、且つその草稿が極めて複雑であり、断片的なるところもあり、不必要なる重複もあるから、その出版者は最も深く著者の名誉を重んじ、その遺稿に対し厚き敬虔《けいけん》の念を有し、刻苦精励これに当る人でなくては、到底この事業を完成することは出来ぬという事に
前へ
次へ
全298ページ中193ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
穂積 陳重 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング