あたかも天より降り来たるがごとく、わが思う時刻にその物を得て、何一つの不自由なく安心して家に居《お》るべし。両親は己《おの》が身にも易《か》えられぬ愛子なれば、これを教え、これを諭し、これを誉《ほ》むるも、これを叱るも、みな真の愛情より出でざるはなく、親子の間一体のごとくして、その快きこと譬えん方なし。すなわちこれ親子の交際にして、その際には上下の名分も立ち、かつて差しつかえあることなし。世の名分を主張する人はこの親子の交際をそのまま人間の交際に写し取らんとする考えにて、ずいぶん面白き工夫のようなれども、ここに大なる差しつかえあり。親子の交際はただ智力の熟したる実の父母と十歳ばかりの実の子供との間に行なわるべきのみ。他人の子供に対してはもとより叶《かな》い難し。たとい実の子供にても、もはや二十歳以上に至ればしだいにその趣を改めざるを得ず。いわんや年すでに長じて大人《おとな》となりたる他人と他人との間においてをや。とてもこの流儀にて交際の行なわるべき理なし。いわゆる願うべくして行なわれ難きものとはこのことなり。
 さて今、一国と言い、一村と言い、政府と言い、会社と言い、すべて人間の交際と
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