ここから2字下げ]
われを見れば焔の少女君見れば君も火なりと涙ながしぬ
[#ここで字下げ終わり]
これは作者自身の場合を正抒し、それを涙流しぬで歌に仕上げたものであるが、これほどのものも当時作者の外誰にも出来なかつたことを私は思ひ出す。
[#ここから2字下げ]
華やかに網代多賀をば行き通へ泣くとて雨よ時帰らんや
[#ここで字下げ終わり]
多賀の佐野屋で網代湾に降る早春の雨を見ながら雨に話しかける歌。雨よ降るなら華やかに降つて網代と多賀の海上を勢ひよく往復するがよい、めそめそ泣いて降つたとて過ぎ去つたよい日は決して帰つてこないのだからと雨にいふ様に自分にいつてきかせるのである。
[#ここから2字下げ]
紫と黄色と白と土橋を胡蝶並びて渡りこしかな
[#ここで字下げ終わり]
たとへば日本舞踊で清姫のやうな美姫を三人並べて踊らせる舞台面があつたとする。それを蝶に象徴するとこの歌になる。象徴詩はもと実体がないのであるから、読む者が自由に好きなものを空想してはめこむが宜しい。
[#ここから2字下げ]
瀬並浜宿の主人が率ゐつゝ至れる中にあらぬ君かな
[#ここで字下げ終わり]
汽
前へ
次へ
全349ページ中74ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
平野 万里 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング