はふ為には読者は必ず高声に朗誦しなければいけない。この場合にも私はさう云ひ度い。
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箱根風朝寒しとはなけれども生薑の味す川より吹くは
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之も哈爾賓の雪と同じ時の作で、やはり早川に臨んだ福住の二階座敷の歌である。朝になつて硝子障子をあけると川から風が吹き込む。それは箱根風で寒いとは思はないが、生薑の味がする。といふのはやはり少しは寒い意味であらう。これも哈爾賓の雪と同じでその突飛な表現に生命が宿つてゐるともいへる。
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春の月雲簾して暗き時傘を思ひぬ三条の橋
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三条の大橋を半ば渡つた時俄に黒い雲が来て簾でもおろしたやうに春の月をかくして暗くなつてしまつた。雨が落ちねばよいが、傘を持つてくればよかつたと思ふ。思ふものは無論作者のすきな蘇小なのであらう。雲すだれするとは面白いいひ方である。
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黒潮《くろしほ》を越えて式根の島にあり近づき難し幽明の線
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十二年頃の事だらうと思ふが近江さん達と伊豆七島の幾つかを廻られたことがある。世の中がまだ静
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