何物もなく取り去るべき一字もない。
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花咲きぬむかしはて無き水色の世界に我とありし白菊
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これほど新らしい、又縹渺として捕へ難い趣きもあり、又一種の哲理のやうなものをさへ含んでゐる歌は晶子さんにさへ一寸珍しい。日本のやうな局限された天地に置いておくべき詩ではない。といつて又世界の諸民族中この歌の分るのは或はフランス人位のものかも知れないといふ様な気もする。水色の世界とは即ちロゴスであり混沌であり、万法帰源の当体である。その中で晶子さんと白菊とがものの芽として共存してゐた。それが時至つて一つは詩人として日本に生れ、一は白菊として今日その花を著けここに再び相会したのである。
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石山の観月台に立ちなまし夜の明けんまで弥勒の世まで
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弥勒の世とは五十六億七千万年後の世であるから永遠といふ言葉のよき代用である。西洋風にいつたら聖蘇再誕の日までとなる。誰でも、又いくらよい月でもまさか夜明しも出来ない。その内厭きても来るし眠くもなつて観月台から引き上げたであらう。しかし唯引き上げたのでは面白くない
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