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魚の我水に帰りし心地して湯舟にあれば春雨ぞ降る
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 魚になつた様な気持がして、とは誰もがいふであらう、入湯と春雨、よく調和したいい気分である。この場合しかしさう云つたのでは鈍い感じしか起らない。それを「魚の我水に帰る」といへば、人の意表に出て新鮮な感想を喚び起すことになる。ここらは学んで出来ることであるから歌を作る人の参考までに申し上げる。

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湖の奥に虹立ちその末に遠山靡く朝朗かな
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 大正十五年五月日光に遊ばれた時の作。湖は中禅寺湖で、湖畔の宿から見た朝の景色で、調子のすらりと整つた気持のよい歌である。

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春ながら風少し吹き小雨降る夕などにも今似たるべし
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 今私達の間は大体に於て春の様ななごやかさが支配してゐる、しかしその中にも風が少し許り吹き、雨が少し許り降るけはひがなしとはしない。しかし春の夕方雨風の少しあるのも必ずしも悪くはないとも云へる。私達の中は今はその辺の処で決してまづいものではありません。

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山山と湖水巴
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