貧しさはどんなものですか、それを一つ感じのよい言葉で云つて見ませう、寒中行者が浴びる水の様なものです。行者が冷い水を浴びることを苦にしない様に私は貧しいことなどを苦にしない。進んで冷いとも思はず頭から何杯でも引き被つて之に堪へ、行者が六根の清浄を得るやうに私は自己を磨くのである。こんな風にも解せられるが、果して当つてゐるか如何か少し心許ない。
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湖の鱒の産屋の木の槽に流れ入るなる秋の水音
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十和田湖の有名な和井内姫鱒孵化場の光景である。あの清冷氷の様な十和田湖の水のとうとうと流れ込む水音が泉の涌く様に聞こえる。
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われ昔長者の子をば羨みぬけふ労ふもその病のみ
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私は子供の時長者の子を羨んだことがあるが、けふ労つてゐるのも同じ貧といふ八百八病の外の病である。作者の中年迄の貧苦は相当ひどいもので色々貧の歌のある理由である。
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冬も来て青き蟷螂きりぎりす炉をめぐりなばをかしからまし
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斯ういふ歌は目前の小景の写生などより一般読者には余程難
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