片隅の小さな温泉の心持がはつきり出て居る。
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物売りに我もならまし初夏のシヤンゼリゼエの青き木の下
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五月のシヤンゼリゼエの大通りは、両側のマロニエの街路樹が花をつけ、小さいシヤンデリエヤを一面に飾り立てたやうに見える。さうしてエトアルからコンコルドまで何キロかの間それが真直ぐに続く光景は洵に夢の様に美しい。その木の下には花売り、新聞売り、くだもの売りの御婆さん達娘達が嬉々として生を楽しんでゐる。東洋の旅の女もじつとしては居られないわけだ。
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久見崎の沙の斜面を打ちし如打たざりし如晴れし雨かな
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小舟を川内河口に浮べ長く海中に突き出した沙の堤防の様な久見崎に遊んだ。その途上軽い夕立がしてやがて晴れてしまつた。著いて見ると沙が少し濡れて居る、しかしそれは乾いてはゐないといふ程度であるその心持を詠んだものであらうか。
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月射しぬロアルの河の水上の夫人ピニヨンが石の山荘
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巴里滞在中の夫妻は和田垣謙三博士に連れられ同博士入魂のピニヨン夫人
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