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昨日といはず今日と云はず朝と云はず昼と云はず西からも東からも雲が涌いて変幻限りない様相を呈する霧島に来て居るとでも書いたら子供達は心配するだらう、そんなことは書くまい。
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夕ぐれは車の卓の肱濡れぬ胡地の景色の心細さに
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胡地はシベリヤである。私も一囘シベリヤを通過したことがあるが、風光明媚な内地の景色に慣れてゐる旅人が朝夕シベリヤの荒涼たる風貌に接する場合、特にそれが感覚の鋭敏な女の一人旅である場合、洵に想像に余りがある。当時大連にゐた私は夫人のこの壮挙を勇気づける為にハルピンに向け電報を打つたことがあるが、よくも決行されたことであつた。
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山の台対する海はさしおきて心惹かるゝ青蓬かな
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霧島温泉のある山の台からはその中に桜島の浮く鹿児島湾の東の水面が遥に展望される。しかしそれはそれとして、展望台に生えてゐるつまらない青蓬が私の心を惹く、大方武蔵野のそれを思ひ出させるからであらう。
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初夏やブロンドの髪黒き髪ざれごとを云ふ石のきざはし
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