とあのぬらぬらする紅い海髪の房がするすると指の間をすり抜ける感触だ。暖かい風の吹いて居る静かな海岸の岩の間に顔を出す人魚、近代人の感触は例へば斯ういふ媒介者があつて感ぜられるとも云へる。
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何時となく思ひ上がれる我ならん君も仇も憎からぬかな
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人間も漸く成熟すると斯ういふ境地に立つ、即ち恩讐一等の境地である。それをさうといはずに殊更に卑下して思ひ上がれるといつたのであらう。
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恋もせじ人の恨みも負はじなど唯事として思ひし昔
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私は少女の頃から色々の古典も新作も読んで恋の葛藤の悲しさ痛ましさ浅ましさ恐ろしさを十分知るにつけ、私は恋などはしない、人の恨みも受けまいと簡単に考へてゐたのであつた。それだのに如何だらう。人の恨みを受けるやうな人並はづれた危い恋をしてしまつた、恋を知らない少女心はそんなものでしかない。
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島の雨紅襷して樫立の若衆が出でて来る時も降る
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八丈島へ遊びに行つた時、偶※[#二の字点、1−2−22]大賀郷の広場で樫立部
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