島武郎さんのことで有島さんは札幌出でもあり、又ここの大きな耕地を相続されたのを小作人に無償で分配して処分されたこともある。そこで亡き人の札幌となる。武郎さんと晶子さんとは暫時ではあつたが心と心と相照した間柄で、無言の恋をお互に感じつつそれも相当の程度に昂じたが遂に発せずに武郎さんは死んでしまつたのであつた。これは寛先生もよく知つてゐた事実である。併し人が誤解しないとも限らないから「人に知らるな」と断つたのである。しかし又面白さうにわざわざ人に吹聴してゐる気味もなくはない。

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少女子の心乱してあるさまを萩芒とも侮りて見よ
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 ひどいめに会はせますからといふ続きが略してあるらしい。

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夜の十時ホテルに帰り思へらく錦の如し函館の船
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 人の少い北海道を旅しつづけ今帰らうとしてホテルから見れば連絡船に美しき灯が這入つて居て錦の感じだ。ぱつと明るい感じが読者にも感ぜられる。

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もの恐れせずと漸く思ふ日は生みし娘の髪尺を過ぐ
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 作者も漸く長じて物恐
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