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牛の群彼等生くれど争ひを知らず食めるは大阿蘇の草
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 晶子さんは人と争つたことがない、徹底的に闘争が嫌ひであつた。徹底した平和主義者であつた。その繊細な神経が暫時の不調和をも許さなかつたからである。阿蘇の大草原に放牧されてゐる牛の群の争ひを知らずに生きて居る姿に人生の理想を見た作者であつた。
 寛先生の発明であるが、私達は昔絶句と呼んで短歌に二音加へた新らしい形式を試みたことがある。即五・七・七の片歌に短歌の下の句を加へたものとも見られ、又は片歌を二つ重ねた旋頭歌の第四句の五音を削つたものと見てもよい、五・七・七・七・七といふ形である。七が重るので七絶から思ひ付いて絶句と呼んだのでもあらうか、故大井蒼梧君がある日席上で作つたのに斯ういふのがあつた。 天地に草ある限り食ふと大牛よい哉その背我に貸さずや 席上大に賞讃を博したものなので未だに覚えてゐるが、同君も基督教徒の平和主義者であつた。牛と平和とはよく同調する。

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いみやらんわがため恋しき人生みし天地思ひ涙流るゝ
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 あの人を恋した許りにこんな
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