出して賞美したことがあつたが、序にも一度引用しよう。 開聞のほとり迫平《せひら》の松にあり屋久の島より吹き送る秋 前の天草が日本の西端なら、この開聞が岳は日本の南端で、その点もよく似てゐるがその調子の高いことも同じ程で何れもやたらに出来る種類の歌ではない。
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水隔て鼠茅花の花投ぐる事許りして飽かざらしかな
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幼時を思ひ出した歌。斯ういふ種類の歌には余りよい歌はない、その中でこの歌など前の鏡の歌と共に先づ無難なものの一つであらう。
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天草の白鶴浜の黄昏の白沙が持つ初秋の熱
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これは何といつても天草であること、白鶴浜であることが必要で、房州の白浜辺の砂ではこれだけの味は出て来ない。固有名詞の使用によつて場所を明確にし、その場所の持つ特有の味、色、感じを作中に移植する方法は、作者の最も好んで用ゐる所であるが、この歌などはその代表的なもので、それに依つて生きて居るのである。
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君に逢ひ思ひしことを皆告げぬ思はぬことも云ふあまつさへ
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これは
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