うに之を召すことはなかつた。一人の知音なく遠い佐渡で淋しく崩ぜられた院の上がいかにも帝王らしい高雅な調べで表現されてゐる。
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梅雨《つゆ》去りぬ先づ縹草初夏の瞳を上げて喜びを云ふ
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梅雨が上つていよいよ夏だといふはればれしい感じは恐らく凡ての草木の抱く所であらう。この歌ではその最初の声を発するものが縹草即ち小さい露草で、可哀らしい紫の瞳を上げて子供らしく嬉しい嬉しい嬉しいといふ様に見える。成るほどさうかも知れない。
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大きなる護岸工事の板石の傾く上に乗れる青潮
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これは新潟港の所見である。護岸工事の傾斜したコンクリイトの板石に秋の潮がさして来る、その心を濡らす様な青さ。青潮にはその中に作者の心が溶けてゐて抒情性がそこに生れるのである。単純に天地の一角を切り取つた無情の写生ではない。
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雨の日は我を見に来ず傘さして朝顔摘めど葵を摘めど
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私は花作りです、いつも庭へ出て花の世話をします、それをあの人は見に来ます、私を恋して居るのでせう、
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