歌だからここにも抜くのである。
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浅ましく涙流れていそのかみ古りし若さの血はめぐりきぬ
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枕言葉などいふのんきなものを我々はめつたに使はなかつたが、この石の上だけは晶子さんが時々使つた。オオルドミスといふ程でもない古女の場合が考へられる。恋など再びしようとは夢にも思つてゐなかつた古女が、人の情にほだされてうかうか近づいて行つたが、或日その人の告白と強い抱擁とに逢つたやうな場合ではないか。止め度もなく涙が流れ出る一方久しく眠つて居た昔の若い血が突然目を覚まして心臓から踊り出す。涙はいよいよ流れて止まない。そんなことではないかと思ふが如何であらうか。
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我死なず事は一切顛倒す悲しむべしと歎きしはなし
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昭和九年正月雪の那須で病まれた夫人は一時相当の重態であつたらしく、寛先生は痛心の余り血を吐く様な歌を沢山詠んで居られる、この悲しむべしと歎くといふのがそれである。例へば 妻病めば我れ代らんと思ふこそ彼の女も知らぬ心なりけれ 我が妻の病めるは苦し諸々に我れ呻《うめ》かねど内に悲む 世の常の言
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