まるが、こんな風に取つても差支ないであらう。
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山山を若葉包めり世にあらば君が初夏我の初夏
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故人に死に別れた年の初夏、始めて家を離れ箱根強羅の星さんの別荘に向はれ、傷心を青葉若葉に浸す事になつた時の作。去年までの世の中なら一しよに旅に出て心ゆく迄初夏を味はつたことであらうに、今年は一人強羅に来て新緑の山々に相対してゐる。唯一年の違ひが何という変り方だ。実際その前年も故人と共に塩原に遊んで、君の初夏我の初夏を経過してゐる位だから感慨も深い筈だ。
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人ならず何時の世か著し紫のわが袖の香を立てよ橘
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前にも一度 rebers[#「rebers」はママ] した古今集の 五月待つ花橘の香を嗅げば昔の人の袖の香ぞする といふ歌を本歌とすることいふ迄もない。「人」は他人の意で、昔の人と云はれて居るが、それは他人ではない、前生の私である、昔の人の袖の香とは、何時の世にか私の著た紫の袖の移り香のことである。歌の様にも一度立てておくれ、私はそれを嗅いで前生の若かつた日を思ひ出すことにしよう。私は古今集
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