がこの歌である。
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女郎花山の桔梗を手弱女の腰ほど抱き浅間を下る
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今の千が滝の地は当時は落葉松の植わつた唯の高原で、そこから山の秋草を一抱へ持つて宿の男でも帰つて来たのであらう。その束が余り大きかつたので、ダンスをして相手を抱いてゐる形などを聯想したのであらう。
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姑と世にいふものが片隅にある心地する暗き浴室
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姑だけは晶子さんの知らない存在である。また許し難い存在であつたかも知れない。その姑さんが居るやうだといふのだから余程暗い気味のわるい風呂場だつたに違ひない。或は自家発電による暗い電灯の為だつたかも知れない。
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越の国斯かる幾重の山脈の何処を裂きて我来りけん
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前と同じ行、初めて赤倉温泉に浴した時の作。北の方日本海に向つて大きく開けてはゐるが、他の三方は皆山で、特に東方は上信越の山々が屏風を重ねたやうに屹立して居る。成るほどさう云はれて見ると東から来た筈の私達はトンネルも潜らずに何処を如何して来たものか怪しまずには居られない山の立たずまひである。
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山涼し馬を雇はん値をばもろともに聞く初秋の月
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同じ行赤倉を出て渋の奥にある上林温泉へ廻つたが環境がもの足りなかつたのでも少し奥へ這入りたかつた。ここから上州白根へ抜ける路に発甫《ほつぽ》といふ小温泉のあることが温泉案内に書かれてある。しかし馬でなければ行かれぬ。そこで馬子を呼んで貰つて打ち合せをした。初秋の月がその相談を上から聞いて居た。しかし雨が降つたか如何かしてこの発甫行きは実現しなかつた。
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大木の倒さるゝ事幾度ぞ胸をば深き森と頼めど
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千古斧鉞を入れぬ処女林のやうに思つて頼みにして来た我が胸にもいつの間にやら忍び入るものがあつてその度に大木が地響打つて伐り倒された。ああ人生の悲劇、幾度か幕が降りたがどこ迄続いて行くのであらう。
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賜りし牡丹に代りもの云はん長安の貴女人を怨まず
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天下無双の容色を誇り帝寵を一身に集むる楊貴妃のやうな女に人を怨むといふことはない。牡丹の花を見るに、海棠の雨に濡れて怨む
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