」と如何にも憤ってるらしく独白した。
 号一は手に弄んでゐたスプーンを咄嗟に、彼の方へ差出さうかと思った。すると相手の男は横眼でヂロッと彼の方を視た。号一ははっと気がついたやうに手にしたスプーンを引込めると、急にそっぽを向いて知らぬ顔をした。



底本:「普及版 原民喜全集第一巻」芳賀書店
   1966(昭和41)年2月15日
※底本ではタイトルが「溺死・火事・スープン」と誤記されています。底本の目次では「溺死・火事・スプーン」になっています。
入力:蒋龍
校正:小林繁雄
2009年6月18日作成
青空文庫作成ファイル:
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