ナきます。一番大きいので長さ百フィートあればいゝでしょうが、こうした奴を二三十本打ち出すと、この国の一番丈夫な城壁でも、二三時間で打ち壊せます。もし首都が陛下の命令に背くような場合は、この粉で首都を全滅させることだってできます。とにかく、私は陛下の御恩に報いたいと思っているので、こんなことを申し上げる次第です。」
 私がこんなことを申し上げると、国王はすっかり、仰天してしまわれたようです。そして呆れ返った顔つきで、こう仰せになりました。
「よくも/\お前のような、ちっぽけな、虫けらのような動物が、そんな鬼、畜生にも等しい考えを抱けるものだ。それに、そんなむごたらしい有様を見ても、お前はまるで平気でなんともない顔をしていられるのか。お前はその人殺し機械をさも自慢げに話すが、そんな機械の発明こそは、人類の敵か、悪魔の仲間のやることにちがいない。そんな、けがらわしい奴の秘密は、たとえこの王国の半分をなくしても、余は知りたくないのだ。だから、お前も、もし生命が惜しければ、二度ともうそんなことを申すな。」
 王御自身は、科学に興味を持たれ、自然に関する発見など非常に喜ばれたのですが、このことばか
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