はないかと云ふ。
 戦争と暴力の否定が現代ぐらゐ真剣に考へられねばならぬ時期はないだらう。血みどろな理想は決して理想ではないし、強い人々だけが生き残るための戦争ならなほ更回避されねばならない。なぜなら、(生存競争弱肉強食の法則を是正し、人類文化遺産の継承を行ふのが、人間の根本倫理[#「人間の根本倫理」に傍点])だからと語る。これらの言葉は、一切が無であらうかと時に目まひがするほど絶望しがちな僕たちに、静かに一つの方向を教へてくれるやうだ。



底本:「日本の原爆文学1」ほるぷ出版
   1983(昭和58)年8月1日初版第一刷発行
初出:「三田文学」
   1949年7月号
※底本中の二重括弧は、「(」「)」にあらためました。
入力:ジェラスガイ
校正:大野晋
2002年7月20日作成
青空文庫作成ファイル:
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