は自分もやがて幾人かの子供を産んで、あの女の人のやうに股を拡げて腰をかける日のことを考へるとほほ笑ましい気持であつた。その姿が少しもいやらしくは見えなかつたしかへつて三人の母として頼もしさへ見えた。絹子は自分もそつと下駄を離してそり身になつてみたけれども、若い絹子にはそれは何だか妙なものである。絹子は、無性にをかしくなつて来て、肩で信一の体を二三度強く押しつけた。何も知らない信一は窓外の方を向いたまま唇辺でくすくす笑つてゐるやうであつた。
底本:「林芙美子全集 第十五巻」文泉堂出版
1977(昭和52)年4月20日発行
入力:林 幸雄
校正:花田泰治郎
2005年6月27日作成
青空文庫作成ファイル:
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