いねえ、長生きをなさることはとてもおめでたいことなのですよ」
とおっしゃいました。長生きをすることがどうしておめでたいのかわからないけれども、でも、僕だって、おとうさんや、おかあさんが長生きをして下さるといいと思う。
吉田さんのおじさんは、二三日僕の家におとまりになることになりました。東京で、あたらしく何かおしごとをおはじめになるということでした。
吉田さんのおじさんは、背がひくくって、とてもよこにふとった人だけれど、子供ずきなおじさんで、僕は大好きです。おじさんはいつもおこった顔をしたことがない。にこにこしていて、とまっていても、ひまがあると何だか用事をみつけてしておられる。薪も割ってもらいました。お餅をつくのにもてつだってついてもらいました。
おじさんは東京に早く家をみつけたいといっておられました。長く住んでいたところは、一番なつかしいといっておられました。
8
おとうさんは、吉田さんのおじさんのおすすめで、お二人で何かお仕事をはじめるといっておられました。
「としがはんぱだから、なかなかいい仕事がみつからなくて――」
とおとうさんがおじさんに話しておられ
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