三郎殿ですか。どうしてわかります?」
「奥の床の間の前に首が飾《かざ》ってありますもの」
 それだけ聞くと、廊下を踏み鳴らして、弟子達はみんな一人残らず奥へ駈《か》け込んで行く。
 玄関口を飛び出したお六と長庵、妙見の死体に躓《つまず》いて胆を冷やしながら、
「さあ、長庵さん。この間に逃げるんだよ。しっかりおしよ」
「お六坊、暫らくだったなア。こんなところに巣《す》ウ食《く》っていようたあお釈迦さまでも――」
「何を言っているんだよ。捕まらないうちに、麹町とかのお前の穴まで逃亡《ずら》かろうじゃアないか。わたしも、あんな呑んべえには飽きあきして、先刻《さっき》もさっき、フッとお前さんのことを思い出して憂鬱《ゆううつ》になっていたところさ」
 ユーウツなんてそんな蒼白いことは言わない。グイとお尻を端折《はしょ》ったお六。長庵とつれ立ってスタスタ、旦那の造酒を置いてきぼりにして逐電《ちくでん》する。
 暗黒の街路《まち》。歩きながらの会話。
「お六、飛んだ道行《みちゆ》きだなア」
「あいサ。粋《いき》な糸《いと》の欲《ほ》しい幕《まく》だけれど、あんまりパッとした着付けじゃアないね」
「し
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