ないというので一|同《どう》素面《すめん》である。ズラリと大広間に居流れて評定《ひょうじょう》の最中だ。
「もうこれで四|人《にん》殺《や》られている。諸君はどう思われるかしらんが、これだけ屈強の士、しかも、多くは将軍家|御警衛《ごけいえい》の任に当る天下の旗本である。のみならず、召し出されてお城の要役《ようえき》にある者が、斯く一致団結して当りながら、元同僚とは申せ、今は痩浪人《やせろうにん》である。その痩浪人一匹持てあまして……実に何たる――! イヤ、考えてもムシャクシャ致すワ」
「何の。その悲憤は貴殿のみではない。御用の者に駆り立てられておる野犬を、思うさま咬《か》み廻るに任せて、今日まで指一本触れることが出来ぬとは、イヤハヤ、心外のいたりでござる」
「上に聞えて面白くないばかりか、庶民に対しても御番部屋の名折れ、延いては千代田のお城の威信《いしん》にも関することだ」
「そうだ。だが、上司へはもう聞えておる。老中、若年寄、大目附など、寄りより鳩首凝議《きゅうしゅぎょうぎ》しておるとのことじゃ」
「ふふむ。何を協議しておるのかな」
「それはわからぬ。天機《てんき》洩《も》らすべから
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