右|御意之趣《ぎょいのおもむき》……。
[#ここで字下げ終わり]
 源三郎につぐ柳門《りゅうもん》非凡の剣手、高大之進を隊長に、大垣《おおがき》七|郎右衛門《ろうえもん》、寺門一馬《てらかどかずま》、喜田川頼母《きたがわたのも》、駒井甚《こまいじん》三|郎《ろう》、井上近江《いのうえおうみ》、清水粂之介《しみずくめのすけ》ほか一団二十三名、一藩の大事を肩にさながら出陣のごとく、即夜《そくや》、折りからの月明を踏んで江戸へ、江戸へ……。

   足留《あしど》め稲荷《いなり》


       一

 品川や袖にうち越す花の浪……とは、菊舎尼《きくしゃに》の句。
 その、しながわは。
 東海寺《とうかいじ》、千|体荒神《たいこうじん》、足留稲荷《あしどめいなり》とそれぞれいわれに富む名所が多い。
 中でも、足どめの稲荷は。
 このお稲荷さんを修心すれば、長く客足を引きとめておくことができるというので、旅籠《はたご》や青楼《せいろう》、その他客商売の参詣で賑わって、たいへんに繁昌したもの。
 ふとしたことから馴染《なじ》んだ客に、つとめを離れて惹かれて、ひそかにこの足留稲荷へ願をかけた一
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