合爾合《カルカ》姫 (寝台から成吉思汗を見つめながら、半身を起して)成吉思汗《ジンギスカン》! なにしに妾をここへ呼んだのです。
成吉思汗《ジンギスカン》 このおれの心は、誰も知らない。誰も知らない。銀の鱗と騒ぐ斡児桓《オルコン》と塔米児《タミイル》の川波が、知っているばかりだ。うむ? (合爾合《カルカ》の問いに気づき)何のために、あなたをここへ呼んだ? ははははは、それは、朝になればわかるだろう。僕はここで、一晩中あなたをお守りする。成吉思汗《ジンギスカン》を信じて、ゆるゆるお眠みになるがいい。
[#ここから3字下げ]
寝台の傍の猛虎が、いきなり凄い唸り声を発する。
[#ここで字下げ終わり]
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
合爾合《カルカ》姫 おお怖《こわ》い! この虎をあっちへ連れて行って下さい。でも、砂漠の虎|成吉思汗《ジンギスカン》よりも、妾にはこの虎のほうが、まだ安全かも知れませんわね。
成吉思汗《ジンギスカン》 月が照ると、こいつは故郷の山を思いだして、吠えるのです。木華里《ムカリ》! 木華里《ムカリ》はいないか。
[#ここから3字下げ]
天幕の入口に、巨漢|
前へ
次へ
全94ページ中66ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
林 不忘 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング