、かくいう私が――。
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一同爆笑する中に、姫は、止むなく涙とともに盃を受けて、返す。
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成吉思汗《ジンギスカン》 おれはどんなにこの宵を待ち望んでいたことか。皆も笑ってくれるな。砂漠の虎だって、情を解しないものではない――天幕《てんと》に照る月、兜に置く露、この長の年月、ただの一日もあなたを忘れたことはなかった。
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合爾合《カルカ》姫は黙然と顔を外向《そむ》けている。四天王ら、口々に、「おめでとうございます。」「お喜び申し上げます。」などと祝いを述べて、いっせいに乾杯する。
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成吉思汗《ジンギスカン》 うむ、お前たちも飲め。これ、者勒瑪《ジェルメ》、合爾合《カルカ》姫は長の籠城で、さぞ不自由をしたことだろう。痛々しいかぎりだ。羊を屠《ほふ》れ。馬乳酪《カンメズ》を取り出せ。好豆腐《メイドウフ》も持って来い。ありったけの馳走を姫の前に並べろ。
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声に応じて、種々《いろいろ》な料理が運び
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